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鈴木先生の質問への回答例ではありませんが、先生の書かれた以下の内容をご覧いただければ、安心してお子さんをお任せすることが出来るようになると思います。
やはり大切なお子さんをお任せする限り、中途半端な考えの医師には任せられないことと、専門医に見ていただく意味が良く理解できました。
(この内容は、鈴木先生のHPより掲載させていただきました)

2007年2月14日、入院される患者様へのお願い

水野病院へ赴任してから1年8ヶ月になろうとしています。最近では外来のほとんどは小児が対象となりましたし、入院では子供部屋もできて、手術治療も軌道に乗ってきています。幸いこれまで順調で医療事故の記憶もありません。ただし水野病院は子供病院ではありませんので、アメニテイの点でまだいろいろ不自由があるのが事実です。たとえば子供の遊び場やおもちゃなどはまだ備えておりません。これまでほとんどの患者様は成人(大部分が老人)でしたので、看護師はまだ子供の看護に慣れておりません。
現在いろいろ問題はあるものの、子供部屋の設置、子供用ベットの購入、外来の授乳室の設置、外来予約制導入、をはじめとして小さな改善はいくつもありました。これらは私が指示したものではなく、より良い病院にしてゆこうと願っている全職員の善意と努力で実現したものです。気づかれた方もおられると思いますが、手術場に向かうときに必要なお子様の服などは病棟の看護師がボランテアで作ってくれたものです。また、手術場ではお子様が快適に手術を受けられるようにと様々な工夫が行われてきました。たとえば麻酔導入の際にはいろいろなお菓子の匂いのついたマスクを用意したりと、ご家族の見えないところで看護師諸君のすばらしい活躍があります。
病気は責任をもって治療しますが、アメニテイ充実には長い時間が必要です。それまではいろいろと不自由があると思いますがなにとぞご了承ください。

2006年10月20日、量から質へ
昨日は股関節脱臼手術の応援の為、滋賀県立小児保健医療センターへ行ってきました。難しい例でしたが、スタッフの素晴らしいチームワークによって最大限のことができたと思っております。
先天性股関節脱臼において難しい例というのは2つに分類されます。1つは検診体制の質的低下のために見逃され、歩行開始以後に発見される場合であり、第2は、完全脱臼であるタイプB、Cにりーメンビューゲルを装着し整復できなかったり、整復されても骨頭壊死が発生してしまう場合です。整復されなかった場合には牽引或いは全身麻酔下で徒手整復が行われることが多いのですが、整復されないままりーメンビューゲルが長期に装着された場合には骨頭は臼蓋の後ろに入り込んでしまって本当に高度な脱臼となってしまいます。このことは実例をあげながら学会などで繰り返し述べているので専門医の多くの方には理解していただいているのですが、一般整形外科の先生方にはなかなか理解していただいていないのが現状です。不適切な初期治療によってより高度な脱臼が形成されてしまう、という事実を知れば、脱臼のお子さんを前にしてもっと慎重に対処しようという気持ちになるはずです。高度化した状態で通常の牽引をしたり徒手整復を試みても成功の確率は低くなってしまいます。こうなると最後の手段としてしばしば手術が行われます。しかし、手術的整復というのは、股関節を開くということであり、同じ手術といってもソルター手術とか大腿骨切りなどとは質的にまったく異なり、合併症も桁違いに多くなります。私が最近感じていることは、この手術的整復があまり深刻にとらえられていないのではないか?ということです。そのような場合には手術もうまく行きません。そうすると再手術しか打つ手はなくなりますが、一度メスが入った股関節の手術は困難を極めることになりますから、1度目の手術がうまくゆかなかった技術で同じ術者が再手術に望んでも失敗することは目に見えています。
同じ脱臼でも一人一人皆病態は異なり、その子にとってもっともふさわしい治療法というのがあるはずです。今必要なことは赤ちゃんの一人一人を大切にしよう、ということです。そのような立場に立てば、赤ちゃんを量的に十派一からげに扱うのではなく、一人一人に応じた質的に高い医療を行おう、という気持ちになるでしょう。現在、医師不足が叫ばれていますが、小児整形外科の分野に限定して言えば、必要なものは量より質であると思います。


2006年7月16日
先日、千葉県内の整形外科医の集まりで「見逃してはならない小児整形外科疾患」という題で講演をさせていただきました。100人近くの先生方が熱心に聞いてくださりありがとうございました。久しぶりの講演でこちらも熱くなってしまいました。主催者であられた千葉大学整形外科守屋教授、千葉こども病院整形外科亀ヶ谷先生、お招きありがとうございました。
私が講演で強調したことは、「小児整形外科疾患で見逃しをしない為には、視診、触診をしっかりおこなう必要がある」、ということです。最近、医療機器の進歩にともなって画像診断が盛んになりましたが、画像に囚われて肝心の患者さんを診ない傾向が知らず知らずのうちに、特に若い先生方に目立ってきているのではないかと危惧しております。この原因はいくつかあるのですが、その1つに見過ごせないものがあります。我国の小児整形外科は経験豊富な年配の先生方によってリードされておりました。昔のことですから、いろいろな現象が科学的に解明されないこともたくさんありました。成功と失敗のくりかえしのなかから経験的に修練を積んでこられた老先生方の功績は確かに評価すべきことです。しかし、一方で医学が進歩し新たな事実が次々と解明された今日、経験から得られたものが必ずしもすべて正しい、というわけではないことがしだいに明らかになってきました。学会において新たな科学的事実に基づいてこうしたことを説明するのですが、老先生方にはこのときは理解していただくのですが、次の学会ではまた同じ昔の理論を蒸し返しておられる、ということがあまりに多いのです。また、若い先生方が素晴らしい研究をして発表してもそれが古い理論と相容れない場合には大変なことになり、またこのような若い芽をつぶすことに生きがいを感じているとしか考えられないような年配の方がおられるのも事実です。こうしたことなどから、若い先生方が見切りをつけて新しい画像診断学などに走ってしまうのは理解できないことではありません。しかし注意すべきことは、新しい画像診断を重視すること自体は間違いではないのですが、この場合、あくまでも視診、触診などの臨床診断を中心に据えなければならない、ということです。なぜなら、レントゲン写真や超音波画像は、しばしば患者から離れていつのまにか一人歩きをすることがあるからです。このような場合、ときによってとりかえしのつかない事態を招くことがあります。講演ではそのような例をいくつか挙げさせていただきました。若い先生方には、医療の基本である視診・触診の重要性を改めて認識していただきたい、というのが私の願いです。新しい診断学と従来の方法論とを有機的に結びつけてゆけば真に役立つ理論が発展するでしょう。



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